消費税

適格請求書等保存方式における消費税の税額計算

こんにちは。渋谷の税理士 吉田です。

今回は、適格請求書等保存方式(インボイス制度)での消費税の計算方法をご説明します。

以下の点については、現行と同様となりそうです。

①税率毎に売上にかかる消費税額から仕入れにかかる消費税額を控除する。

②①で算出した税額に地方消費税率を掛けて地方消費税額を算出する。

③税率毎に算出した税額を合計する。

税率

税率は以下のようになります。軽減税率8%については、現行の8%と国税と地方税の割合が若干変わっています。

適用開始日 現行 2019年10月1日
税率区分 標準税率 軽減税率
消費税率 6.3% 7.8% 6.24%
地方消費税率 1.7%
(消費税額の17/63)
2.2%
(消費税額の22/78)
1.76%
(消費税額の22/78)
合計 8.0% 10.0% 8.0%

売上税額

原則(割戻し計算)

①税込の課税売上の金額を8%と10%の税率区分毎に集計します。

②①の税率ごとの合計額に、100/108 または 100/110 を掛けて課税標準額を算出します。(おそらく現行通り課税標準額は千円未満切り捨て)

③②で算出した課税標準額に消費税率 6.24% または 7.8% を掛けて、売上に係る消費税額を算出します。

特例(積み上げ計算)

相手方に交付した適格請求書等の写しを保存している場合には、適格請求書等に記載した消費税額等の合計額に 78/100 を掛けて算出した金額を売上税額とすることが出来ます。
(軽減税率、標準税率ともに全体を100とすると、国税部分は 78/100 で算出することが出来ます。)

この方法を使う場合には、仕入税額の計算でも積み上げ計算を適用しなければなりません。

仕入税額

原則(積み上げ計算)

相手方から交付を受けている適格請求書等に記載されている消費税額のうち、課税仕入れにかかる部分の金額の合計額に 78/100 を掛けて仕入税額を算出します。

特例(割戻し計算)

①税込の課税仕入金額を8%と10%の税率区分毎に集計します。

②①の税率ごとの合計額に、6.24/108 または 7.8/110 を掛けて算出した金額を仕入れにかかる消費税額とすることが出来ます。

この方法を使えるのは、売上について割戻し計算をしている場合に限られます。

原則と特例の計算方法の関係

売上税額 仕入税額
原則:割戻し計算 原則:積み上げ計算
特例:割戻し計算
特例:積み上げ計算 原則:積み上げ計算

最後に

以上のように、計算については集計さえ出来てしまえば難しいことはないと思います。
積み上げ計算では、実際に請求書に記載してある税額が基本になりますので、会計ソフトへの入力時に請求書と同額の消費税額を入力する必要があります。

また、適格請求書等の交付を免除されている取引についても集計を忘れないようにしなければなりません。

我々税理士としては、いずれの方法がお客様に有利になるかを検証をした上での提案が必要になってきます。