仮想通貨

仮想通貨と税金 

年こんにちは。渋谷の税理士 吉田です。

先日、仮想通貨の会計処理についてご紹介させていただきました。

やはり、税理士なので税金についてもご説明しておこうと思います。

消費税

仮想通貨の譲渡

平成29年7月以降の取引は、資金決済法により支払手段に該当するものの譲渡となったため、非課税の取引となりました。それ以前の取引は、課税取引になります。

課税売上割合の計算

仮想通貨の譲渡は支払手段なので、課税売上割合の計算上、非課税売上高に含みません。

法人税、所得税 共通

法人と個人事業主に関しての共通内容です。

所得区分

個人事業主 雑所得
マイナスでも他の所得と損益通算できません。
法人 その事業年度の利益、損失として計上。

所得計算 ~いくら儲けたのか、損したのか~

次の時点で損益を計算します。

仮想通貨を売却したとき

保有する仮想通貨を売却(日本円に換金)した場合には、売却価額と売却した仮想通貨の取得価額との差額が所得金額となります。

例えば、50万円で1ビットコインを購入して、そのうち0.5ビットコイン40万円で売却した場合は、

40万円ー50万円×0.5=15万円

現金預金 40万円 / 仮想通貨 25万円
売却益  15万円

 

仮想通貨で商品を購入したとき

保有する仮想通貨で商品などを購入した場合には、購入したときに売却したことになるので、その時点での仮想通貨の譲渡価額(商品代金とは別)と譲渡した仮想通貨の取得価額との差額が所得金額となります。

例えば、50万円で1ビットコインを購入して、その後 1ビットコイン=60万円のときに、30万円の冷蔵庫を0.5ビットコインで購入した場合には、

30万円ー50万円×0.5=5万円

冷蔵庫 30万円 / 仮想通貨 25万円
売却益   5万円

 

別の仮想通貨に交換したとき

保有する仮想通貨Aを他の仮想通貨Bに交換した場合は、仮想通貨Bの取得価額を譲渡対価、譲渡した仮想通貨Aの取得価額を譲渡原価として、その差額が所得金額となります。

例えば、50万円で1ビットコインを購入して、その後 1リップル=5万円のときに0.5ビットコインで10リップル購入した場合、

5万円×10リップルー50万円×0.5ビットコイン=25万円

仮想通貨B 50万円 / 仮想通貨A 25万円
売却益    25万円

 

仮想通貨をマイニングにより取得したとき

マイニングにより仮想通貨を取得した場合には、取得した時点での仮想通貨の時価で評価した取得価額からその取得のために要した費用を引いた金額が所得金額となります。

例えば、1ビットコイン=50万円のときに0.5ビットコインをマイニングにより取得し、それに要した費用10万円を現金で支払った場合には

50万円×0.5ビットコインー10万円=15万円

仮想通貨 25万円 / マイニング売上 25万円
費用   10万円  現金預金    10万円

 

仮想通貨の取得価額の計算方法

仮想通貨の取得価額は、取得のために支払った対価に手数料等の付随費用を足した金額になります。

例えば、ビットコインを50万円購入し、手数料を540円払った場合には

50万円+540円=50万540円

仮想通貨 50万540円 / 現金預金 50万540円

 

期末で保有する仮想通貨の評価損益について

仮想通貨の期末評価については「仮想通貨の会計処理」でご説明しましたが、税金計算上は期末評価にかかる損益はなかったものなりますので、申告調整をすることになります。

源泉所得税

仮想通貨で給与を支払った場合には、支払ったときの仮想通貨の時価により給与を算定します。

例えば、給与25万円を支払う際に現金20万円、仮想通貨5万円として払った場合でも、源泉徴収は25万円をベースに計算しなければなりません。

※仮想通貨により給与等を支払う場合には、就業規則等の整備が必要となります。社会保険労士等にご相談ください。

相続税・贈与税

相続や贈与により仮想通貨を取得

仮想通貨を相続や贈与により取得した場合には、相続税や贈与税が課税されます。

仮想通貨の評価方法は、まだ評価通達がないため「評価方法の定めがない財産の評価」の定めに基づいて評価することになります。

活発な市場が存在する仮想通貨は、相続人等の納税義務者が取引を行っている仮想通貨交換業者が公表する課税時期における取引価格によって評価、ない場合にはその仮想通貨の内容や性質、取引実態等を勘案し、個別に評価します。

法定調書関係

財産債務調書への記載

国内外の仮想通貨取引所に仮想通貨を保有している場合、財産債務調書への記載が必要になります。

財産の区分は、「その他の財産」とし、仮想通貨の種類ごとに記載します。

記載する仮想通貨の価額は、財産債務調書を提出する方の取引を行っている交換業者が公表するその年12月31日における取引価格を時価として記載します。時価の算定が困難場合には、取得価額や売買実例価額をベースに見積価額を記載します。

財産債務調書を提出しなければならない方

・所得税の確定申告書を提出しなければならない方

・その年分の退職所得を除く各種所得金額の合計額が2000万円を超える

・その年の12月31日において、次のいずれかに該当
  ・財産合計が3億円以上
  ・1億円以上の有価証券等を持っている

国外財産調書への記載

国外の仮想通貨取引所に仮想通貨を保有している場合、国外財産調書の対象にはなりません。

これは、仮想通貨の所在の判断が「財産を有する者の住所または居所で判断」することになるため、居住者が持っている仮想通貨は国外財産に該当せず国外財産調書への記載は不要となります。

国外財産調書を提出しなければならない方

・居住者(非居住者を除く)

・その年の12月31日において、国外に有する財産合計が5000万円を超える

最後に・・・

先日国税庁から公表された「仮想通貨に関する税務上の取扱いについて(FAQ)」を参考にご紹介しました。

今年から各仮想通貨交換所から年間取引報告書が納税者に対して交付されることになるので、仮想通貨の所得計算は簡単になるはずです。

これからの法の整備に期待したいところです。