消費税

ポイント還元 ~会計と税務を考えてみた~

こんにちは。おひさしぶりです。

渋谷駅近くの税理士 吉田です。

今回は、消費税増税と同時にスタートしたキャッシュレス決済をした場合のポイント還元について、会計処理と税務処理をどのようにしたらいいか、考えてみました。

まず、ポイント還元については、以前にコンビニの領収書をアップしました。↓

ポイント還元にはいくつかパターンがありますが、上記は即時に受けられるものです。

この場合、キャッシュレス還元は-16円でした。

税込837円×還元率2%=16.7円となるわけです。

事業の経費ならば、皆さんはどのように仕訳しますか?

私ならパッと思いつくのが下の2通りです。

 

さて、次に消費税の取り扱いはどうなるでしょう。

これは、逆に販売店側の立場で考えるとわかります。

このポイント還元については国が決済業者を通して最終消費者に付与するものなので、消費税で言う「資産の譲渡等」の対価として支払うものではないため、消費税は不課税として取り扱うようです。

「キャッシュバック」や「現金還元」といった「値引き」ではない旨を強調しています。

ちなみに国が行っているポイント還元とpaypayなどの事業者が行っているポイント還元があると思いますが、今日は国が行っているポイント還元についてです。

 

さて、そうすると②では厳密にいうとダメですね。

①の仕訳で、雑収入は消費税対象外として処理をするのが、正解のようです。

 

まあ、正解はそうなんだけど、現場としては②でいいのではと思ってしまいます。

領収書の枚数×2倍の仕訳数になり手間がかかるので、領収書が多い場合はうんざりしてしまいます。

 

ちなみにどちらが税務的に有利(納税額が少ない)かというと、①のほうが有利です。

法人税等の利益に課税するタイプの税金では差は見られませんが、消費税のように取引に対してかかってくるタイプの税金では①が有利です。

利益  ① 雑収入16ー仕入高837円=▲821円(②同様)

消費税 ① 課税仕入の消費税62円

    ② 課税仕入の消費税60円

消費税では、売上にかかってくる消費税から控除できる消費税が②より①のほうが②円多いです。

①の正しい方でやったほうが消費税の納税額は少なくなりそうですね。

還元率が5%ならもう少し多くなりますね。

 

正しい方法で行ったほうがいいとは思います。が、税金もコストですので、手間と税金のどちらを取るか判断になりそうです。

 

税務調査によりこれらが指摘されるかどうかは現段階ではわかりませんが、おそらくされないだろうと思っています。

その理由は、3つあります。

1.指摘すれば納税額が減少する。

2.2019年10月~2020年6月の9ヶ月間という期間限定のため、税額に与える影響も限定的である。

3.短い調査期間で多数の領収書を確認する時間はない。

 

ただ、みすみす税額を多く払うのはシャクなので、いくらまでの支出ならばどの仕訳を選択するか決めておくといいと思います。

例えば、仕入額 税込110万円(消費税率10%)還元率 5%で考えると、

消費税 ① 課税仕入の消費税10万円 雑収入は消費税がかかってこない

    ② 課税仕入の消費税95,000円

    ①-②=5,000円 で①のほうが有利です。

 

110万円で5千円の違いということがわかったので、今後の参考にしてください。

 

キャッシュレス決済の手段の中には、銀行振込はありませんよ・・・。