こんにちは。
渋谷の税理士 吉田です。
すっかりブログもご無沙汰してしまいました。
書かなきゃと思いながらもズルズルと過ごしてしまいました。
さて、今日は商工会議所の税務相談に来ています。
最近、相談にこられる方がいないという状況が続いておりましたが、今日はお二人もいらっしゃいました。
一人目の方は、今年個人事業を開業しようとしている方で、税務手続きやその後の会計についてのご質問でした。
二人目の方は、法人設立1年目で法定調書やご自身の確定申告についてのご質問をお受けしました。
税理士であればわかっていることなので丁寧にお答えさせていただきました。
今回は、最近お客様から質問を受けた「役員報酬」についてご説明します。
役員報酬
役員報酬が利益調整の道具とならないようにその支給にはいろいろと取り決めがあります。
損金(税金を計算する上での経費みたいなもの)に入れられる役員報酬は以下のとおりです。
・定期同額給与
・事前確定届出給与
・業績連動給与
今回は、定期同額給与と事前確定届出給与について説明していきます。
定期同額給与
(1) その支給時期が1か月以下の一定の期間ごとである給与(以下「定期給与」といいます。)で、その事業年度の各支給時期における支給額又は支給額から源泉税等の額(注)を控除した金額が同額であるもの
(注) 源泉税等の額とは、源泉徴収をされる所得税の額、特別徴収をされる地方税の額、定期給与の額から控除される社会保険料の額その他これらに類するものの額の合計額をいいます。
↓こんな感じです。
(2) 定期給与の額につき、次に掲げる改定(以下「給与改定」といいます。)がされた場合におけるその事業年度開始の日又は給与改定前の最後の支給時期の翌日から給与改定後の最初の支給時期の前日又はその事業年度終了の日までの間の各支給時期における支給額又は支給額から源泉税等の額を控除した金額が同額であるもの
イ その事業年度開始の日の属する会計期間開始の日から3か月(確定申告書の提出期限の特例に係る税務署長の指定を受けた場合にはその指定に係る月数に2を加えた月数)を経過する日(以下「3月経過日等」といいます。)まで(継続して毎年所定の時期にされる定期給与の額の改定で、その改訂が3月経過日等後にされることについて特別の事情があると認められる場合にはその改訂の時期まで)にされる定期給与の額の改定
ロ その事業年度においてその法人の役員の職制上の地位の変更、その役員の職務の内容の重大な変更その他これらに類するやむを得ない事情(以下「臨時改定事由」といいます。)によりされたこれらの役員に係る定期給与の額の改定(イに掲げる改定を除きます。)
ハ その事業年度においてその法人の経営状況が著しく悪化したことその他これに類する理由(以下「業績悪化改定事由」といいます。)によりされた定期給与の額の改定(その定期給与の額を減額した改定に限られ、イ及びロに掲げる改定を除きます。)
(3) 継続的に供与される経済的利益のうち、その供与される利益の額が毎月おおむね一定であるもの
会社で役員に対してかけている保険の保険料などです。
事前確定届出給与(株式等の報酬は除きます。)
事前確定届出給与とは、その役員の職務につき所定の時期に、①確定した額の金銭を交付する旨の定め(以下「事前確定届出給与に関する定め」といいます。)に基づいて支給される給与で、定期同額給与及び業績連動給与のいずれにも該当しないものをいいます。
イ その給与が次のいずれにも該当しない場合 事前確定届出給与に関する届出をしていること
(イ) 定期給与を支給しない役員に対して同族会社に該当しない法人が支給する金銭による給与(事前確定届出給与に関する届出は必要ありません。)
事前確定届出給与に関する届出期限
(1) 原則
事前確定届出給与に関する定めをした場合は、原則として、次のイ又はロのうちいずれか早い日(新設法人がその役員のその設立の時に開始する職務についてその定めをした場合にはその設立の日以後2か月を経過する日)までに所定の届出書を提出する必要があります。
イ 株主総会等の決議によりその定めをした場合におけるその決議をした日(その決議をした日が職務の執行を開始する日後である場合にはその開始する日)から1か月を経過する日
ロ その会計期間開始の日から4か月(確定申告書の提出期限の延長の特例に係る税務署長の指定を受けている法人はその指定に係る月数に3を加えた月数)を経過する日
(2) 臨時改定事由が生じたことにより事前確定届出給与に関する定めをした場合
臨時改定事由が生じたことによりその臨時改定事由に係る役員の職務について事前確定届出給与に関する定めをした場合には、次に掲げる日のうちいずれか遅い日が届出期限です。
イ 上記(1)のイ又はロのうちいずれか早い日(新設法人にあっては、その設立の日以後2か月を経過する日)
ロ 臨時改定事由が生じた日から1か月を経過する日
(3) 事前確定届出給与に関する定めを変更する場合
既に上記(1)又は(2)の届出をしている法人が、その届出をした事前確定届出給与に関する定めの内容を変更する場合において、その変更が次に掲げる事由に基因するものであるときのその変更後の定めの内容に関する届出の届出期限は、次に掲げる事由の区分に応じてそれぞれ次に掲げる日です。
イ 臨時改定事由
その事由が生じた日から1か月を経過する日
ロ 業績悪化改定事由(定期給与の額を減額する場合に限ります。)
その事由によりその定めの内容の変更に関する株主総会等の決議をした日から1か月を経過する日(変更前の直前の届出に係る定めに基づく給与の支給の日がその1か月を経過する日前にある場合には、その支給の日の前日)
(4) やむを得ない事情がある場合
上記(1)から(3)までの届出期限までに届出がなかった場合においても、その届出がなかったことについてやむを得ない事情があると認めるときは、それらの届出期限までに届出があったものとして事前確定届出給与の損金算入をすることができます。
業績悪化改定事由の例
業績悪化改定事由はどんな事由の場合に考えられるでしょうか。
「経営の状況が著しく悪化したことその他これに類する理由」とは、以下のような場合です。
・財務諸表の数値が相当程度悪化したことや倒産の危機に瀕した |
・経営状況の悪化に伴い、第三者である利害関係者(株主、債権者、取引先等)との関係上、役員給与の額を減額せざるを得ない事情が生じた |
もうすこし具体例をあげれば、
(以下、「役員給与に関するQ&A」より)
① 株主との関係上、業績や財務状況の悪化についての役員としての経営上の責任から役員給与の額を減額せざるを得ない場合 |
② 取引銀行との間で行われる借入金返済のリスケジュールの協議において、役員給与の額を減額せざるを得ない場合 |
③ 業績や財務状況又は資金繰りが悪化したため、取引先等の利害関係者からの信用を維持・確保する必要性から、経営状況の改善を図るための計画が策定され、これに役員給与の額の減額が盛り込まれた場合 |
第三者に対して責任を取るための役員報酬の減額であれば、減額されたとしても定期同額給与として損金算入が認められます。
単に利益調整のための役員報酬の変動はもちろん定期同額給与や事前確定届出給与には該当しないので注意が必要ですね。