事業承継

オーナー会社の株価評価

こんにちは。渋谷の税理士 吉田です。

 

めっきり暑くなってきましたね。

平年だともう梅雨明けしている頃ですが、今年は半月ほど遅れているみたいですね。

 

さて、最近バタバタしてまたブログの更新がスキップしてしまいました。

 

今回悩んだのは、非公開会社の株式評価でした。

税理士の間では、取引相場のない株価評価といいます。

 

M&Aなどでは、第3者(赤の他人)との取引になるので、あまりに高い値段や低い値段での取引にはなりにくいと言われています。

 

が、今回はオーナーが自分の会社の株を、これまた自分の資産管理会社に移すことが目的になってくるので、自分で値段を決められると思いがちですが、税務署はそうは考えていません。

 

一般的に取引される金額より高かったり低かったりすると、その後の税務調査によって余計な罰金を払わなくてはいけなくなります。

 

では、一般的に取引される時価っていくらなのかというと、財産評価基本通達という財産の評価の取り扱いが書かれている通達で決められています。

その財産評価基本通達では、土地はこうやって評価するとか、有価証券はこうやって評価する、など評価の方法が書かれています。

税理士受験で相続税法を勉強している(した)かたは、これらの評価方法をいやというほど叩き込まれます。

 

さて、評価の方法は財産評価基本通達に従って計算すればいいのですが、今回の案件は相続や贈与ではありません。

 

個人と法人の間の取引になるので、売り手の個人は所得税法、買い手の会社は法人税法で考えなければなりません。

 

その様な時のために、所得税法と法人税法の基本通達に取り決めがあります。
すごく、簡単に説明しするので、実際にやるときには顧問税理士に詳しく聞いてください。

 

その会社の株式の大部分(30%以上)を持っている場合、「中心的な同族株主」と呼ばれるものに該当することになります。そのときには、会社の評価は、純資産価額方式で行いなさい。
その会社が、土地やその他金融資産を持っている場合は、純資産価額方式で計算するときに時価評価しなさい。
純資産価額方式で計算するときに、評価差額(時価評価後>時価評価前)が出るときには、通常それに対してかかる法人税額を純資産価額より引くことが出来るが、これは引いてはいけない。

 

純資産価額方式での計算方法は、会社の貸借対照表をベースにそれぞれ資産負債の価格を相続税評価額に算定し直します。
算定された資産負債の差額が純資産価額となり、この純資産価額を発行済み株式数で除したものが「1株当たりの純資産価額」となります。

この「1株当たりの純資産価額」に譲渡する株式数を掛ければ、譲渡価額になります。

 

この取り決めどおりに算定した譲渡価額がこの場合の時価になります。

 

ですから、これらの時価(ある程度値段には範囲をつけることが出来ると思いますが)と、実際にやりとりした価額に大きな差があるときには、税務リスクが高くなりますので気をつけましょう。