おはようございます。
税理士の吉田です。
あけましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願い致します。
落ち着いてきているとはいえ、まだコロナ禍です。
昨年に引き続き、感染対策を万全に注意していきましょう。
インボイス制度
税務の世界では、令和4年は消費税のインボイス制度について登録するか、はたまた登録しないのか検討する年度となります。
インボイス制度がスタートすると、今まで以上に消費税の計算が正しく計算されることになります。
原則的は消費税の計算は、一定の期間中(事業年度など)に預かった消費税から支払った消費税を控除して、
預かり分>支払い分 納税
預かり分<支払い分 還付
となり、この支払い分を引くことを仕入税額控除といいます。
仕入税額控除できる消費税額は、インボイス事業者が発行する適格請求書に記載されている消費税額です。(簡易課税制度を選択している事業者の計算は、上記原則による方法ではありません。)
サービスや物の最終消費者が消費税を負担するという考え方ですので、最終消費者までの途中の事業者は、上記のように計算して納税等を行います。
いままで免税事業者であった事業者も、課税事業者を選択することでインボイス制度への登録が可能となります。
いつから? 申請は?
令和5年10月からスタートします。
登録申請は、すでに始まっています。
スタートに間に合わせるためには、令和5年3月までに登録申請が必要です。
仕入税額控除の経過措置
仕入税額控除について経過措置があります。
インボイス事業者以外の事業者(免税事業者など)に払った消費税については、
令和5年10月~令和8年9月まで 80%
令和8年10月~令和11年9月まで 50%
が仕入税額控除できます。
令和11年9月以降はできなくなります。
登録の検討
現在課税事業者でそのまま課税事業者であれば、特に気にせず登録しても問題にはならないでしょう。
発行する請求書が少し変わるだけですし。
いままで納税をせずに消費税を受け取ってきた免税事業者は特に頭を悩ませることになるでしょう。
インボイス事業者となった場合
メリット
・相手方で仕入税額控除ができるため、取引先との関係は変わらずに継続できる。
デメリット
・消費税の納税が発生する可能性があり、現状の売り上げのままだと利益が減少することになる。利益を確保するには、売り上げアップを考えなければならない。
・消費税を意識した帳簿を付け、消費税の申告書を毎年提出する、という作業やコストが増える。
免税事業者のまま
メリット
・消費税を意識せずに現状通りの事業運営ができます。
デメリット
・取引先へ消費税は請求できないため、請求額アップしなければ、売り上げ・利益ともに減少することとなります。
・現在の取引先との値段交渉などで関係に影響が生じる可能性があります。
登録が必要ない業種
お客様が一般消費者であれば、適格請求書を発行する必要はありません。なぜならば、最終消費者が消費税を負担するため、そのお客様が最終消費者となるからです。
ですから、売り上げの大半が一般消費者であるような業種では、登録する必要は無いと考えています。
例えば、
・八百屋さん
・不動産貸付業
・タクシー
・カフェ、レストラン ほか
簡易課税制度の検討
インボイス事業者への登録により、消費税の申告の事務負担、コストアップが考えられます。
原則による計算は複雑であるため、原則より簡便な「簡易課税制度」の選択も視野に入れておきましょう。
簡単に説明すると、
・前々年(または前々事業年度)の課税売上高が5,000万円以下
・事前に税務署に届け出(消費税簡易課税制度選択届出書)を提出
・課税売上高をもとに消費税の納税額計算を行うことができる
という制度で、計算自体はシンプルです。
令和5年10月からこの制度を使う場合には、令和5年中に税務署へ届け出が必要です。
取引先も調べておく必要がある
現在課税事業者である事業者は、仕入先である事業者がインボイス事業者となるか気になるところだと思います。
なぜなら、相手がインボイス事業者でなければ、自分が消費税を多く納税することになるからです。
そのため、令和4年中に仕入先にヒアリングしておくことが重要です。
自身の状況も伝えつつ、相手の状況も把握しておきましょう。
通知文例:適格請求書発行事業者登録番号のご通知とご依頼について