所得税

源泉徴収の実務

こんにちは。渋谷の税理士 吉田です。

最近、新しいお客様の記帳を2~3ヶ月分やっておりましたが、その際に前税理士がうまく源泉所得税の管理をしていたので、感心しました。

源泉徴収とは?

源泉徴収とは、会社や個人事業主が外注先の個人事業主に報酬を支払う際、その報酬の支払い時に前もって所得税などを徴収して(差し引いて)支払う方法をいいます。

今回は、所得税なので源泉所得税と呼びます。

この源泉所得税は、依頼する仕事により率は違いますが、大体10%程度です。
(給与も一定額以上になると源泉所得税が発生します。給与を支払っている会社は、給与計算の際に項目が出てきているはずです。今回は給与以外の源泉所得税についてお話します。)

そして、徴収した源泉所得税は、翌月10日までに銀行などの金融機関で納付します。
住民税の支払い時期と同じです。

時々よく間違える方がいらっしゃるのですが、個人外注(士業などを除く)の源泉所得税は毎月10日納付となります。
6ヶ月まとめて支払う特例は適用されませんので注意してください。

源泉徴収が必要な報酬と源泉徴収額

源泉徴収が必要な主な報酬と源泉徴収額(個人事業主が居住者の場合です。)

源泉徴収税額の計算方法(追記)

税率を掛ける報酬の額は、原則 税込金額です。

ただし、受け取った請求書などで消費税額がしっかりと区分されている場合は、税抜金額を報酬の額として使っても差し支えない、とされています。

また、報酬の他に交通費などの請求もされてくる場合がありますが、税率を掛ける報酬の額には交通費の額も含めることとされています。

源泉所得税の管理方法

この源泉所得税の管理は、簡単そうで意外と間違っていることが多いです。

よく間違うところは、

・源泉徴収する所得税の金額があっていない。
(交通費は除外していたり・・・。)

・報酬の支払い時に源泉徴収していない。
(受け取った請求書に源泉税額が記載されていなかった・・・。)

・徴収額と納付額が一致していない。

などです。

一人二人の支払先なら間違うことは少ないと思いますが、5件以上になってくると会計帳簿の預り金に誤差が現れてきますので注意が必要です。

また、個人外注への支払状況は毎年翌年1月に税務署への申告(法定調書といいます。)が必要になりますので、一覧等で管理しておくのがベストです。
(税務ソフトへ毎月の入力する方法もありますが、税務ソフトを持っていない場合や税理士に業務委託している場合は、年中はエクセルの一覧表で管理して申告資料作成の際に一度に処理するのが楽だと思います。弊事務所では顧問料に含まれていますが、これらの管理を税理士にお願いすると追加料金を取られる可能性があります。)

私が行っているエクセルの一覧表では、以下の内容を記載しています。

・支払先氏名(フリガナ)、住所、マイナンバー

・報酬の区分(原稿料、イラスト料など)

・毎月の支払金額(税込み)、源泉徴収額

・納付時期、納付額

・理論上の預り金残高

このような一覧を作り、給与Sheet、報酬Sheet、非居住者Sheetなど、納付書の種類ごとに管理しています。

エクセル自体作成は難しくないので、更新を怠らなければ問題は起こらないと思います。

最後に

これらの管理の仕方は、住民税などにも使えます。

以前のブログでもお伝えしているように、預り金残高は気配りしてあげないと結構ズレて来ます。

預り金で処理される項目は、所得税、住民税(社会保険料等)など税金関係が多いため、調査などでもよく見られるポイントです。

残高に気を使ってくれている経理担当者や税理士ならいいのですが、無頓着な方もいるので経営者側から毎月の確認事項に入っているか、再確認してください。